新型ゴルフにホットハッチのGTIとディーゼルモデルが追加。お買い得グレードや必須オプションも解説
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:編集部 112
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フォルクスワーゲン「ゴルフ」が日本カー・オブ・ザ・イヤー2021-22のインポートカー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。同賞の選考委員は、25点の持ち点を10ベストカーに選ばれた10モデルのうちの5モデルに配点することになっている。5点ずつ5モデルに配点するといった八方美人的選考を禁じるため、必ず1モデルに10点を投じなければならない。私は選考委員としてゴルフに6点を投じた。今回、ゴルフに10点を投じた委員は少なかったが、0点の委員も少なく、少しずつ幅広く点を獲得して全体の5位となり、輸入車4モデルのトップとなって受賞した。
今回のカー・オブ・ザ・イヤーにノミネートされたゴルフはノーマルモデルのみで、今回試乗した「GTI」と「TDI」は含まれていない。本来はこれらも含めたゴルフシリーズとして賞に挑みたかったはずだが、GTIとTDIは「当年の12月下旬までに一般消費者が日本国内で購入出来ること」という同賞の規定に当てはまらないため、含まれなかった。もしもGTIとTDIがもう少し早く日本で発売されて年内にデリバリーが始まり、ゴルフシリーズとして参戦していたら、より多くの点を獲得していたのは間違いない。試乗してそう感じた。
<ゴルフ TDI>
ゴルフ7代目の後半に投入されたTDIは、4気筒ディーゼル搭載車としては最も静粛性や制振性の面で優れた存在だった。もっと力強いモデルはあったが、洗練度では一番だった。あそこまで乗員に音と振動を伝えてこない4気筒ディーゼルは当時他になかったし、今でも少ない。そして今回ゴルフ8代目に追加されたTDIは、これまでの優位性を維持したうえで、最新モデルらしく燃費性能を向上し、環境性能も改善した。価格を抑えるためか、ノーマルゴルフに備わる48V電源を用いたマイルドハイブリッドシステムはTDIには付かない。
新型TDIの最高出力は150psと先代と変わらないが、発生回転域が3500-4000rpmから3000-4200rpmと下がり、範囲が広がった。最大トルクは340Nmから360Nmへとアップ。さらに発生回転域が1750-3000rpmから1600-2750rpmへと下がった。
そのうえでWLTCモード燃費は18.9km/Lから20.0km/Lへと向上した。力強さは先代並み。モリモリとトルクの豊かさを感じさせるタイプではないが、高回転までスムーズに吹け上がり、結果として十分なパワーを発揮する。先代と比べ、明確にパワーアップしたというわけではないが、年々要求が高まる燃費を改善したうえで、いささかもかったるくなっていないのは立派だ。モデルチェンジで数値上のスペックが向上していても、乗ると明らかにパンチが弱まっているクルマはけっこうある。
新たに尿素SCRを直列に2つ配置するツインドージングシステムが採用され、先代モデルに対し、NOx排出量を最大80%削減する。同社はこの先、環境性能でミスを犯すことはできない。ツインドージングシステムはその決意表明なのかもしれない。
51Lの燃料タンクを満タンにすれば、カタログ性能上は1020km走行可能ということになる。8掛けして800kmとしても、Cセグハッチとしてはかなり足が長い。剛性の高いボディ、よくチューニングされた足まわり、後席に大人が3人掛けして長時間過ごしても狭苦しさを感じさせない室内空間、十分なトランク容量と、ゴルフは昔から移動距離が長くなればなるほど、同クラスのライバルに対し、優位性を発揮するクルマだ。それにディーゼルの動力性能、燃費性能が加われば、ロングツーリング最強のハッチバックだ。
ゴルフTDIはアクティブベーシック(344.4万円)、アクティブアドバンス(398.9万円)、スタイル(403.8万円)、Rライン(408.8 万円)の4グレードが設定される。アクティブベーシックはルックスこそかなり地味になるものの、安全性能に一切の差はないし、全車速対応のACC、同一車線内運転支援システムのトラベルアシスト、それに電子制御式ディファレンシャルロックのXDSは標準装備される。22年のどこかでゴルフ ヴァリアントにもTDIが追加されるはずだ。
ところでスタイルやRラインに付くステアリングホイールのスイッチは、ピアノブラックの一枚モノのパネルを使ったタイプだが、ベーシックグレードに付く機能ごとに分割された昔ながらのスイッチの方が押し間違いしにくく、使いやすい。最近流行している一枚モノのスイッチは動きのあるステアリングのスイッチとしては向いていない。
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